CONDITIONING MAGAZINE

石田太志 人間が動ける限界まで技を突き詰める

ishida2017-05-08-thm.jpg

【vol.1】 人間が動ける限界まで技を突き詰める。

2014年にアジア人初の世界一に輝き、現在はメディア・イベントに出演するなど活躍の幅を広げているプロフットバッグプレイヤーの石田太志さん。メジャースポーツと比べると認知度は決して高いとは言えないフットバッグだが、肉体の限界と、魅せるパフォーマンスを追求した非常に奥深いスポーツである。Vol.1では石田さんがフットバッグに魅了されたワケ、そしてその魅力について話を聞いた。

試行錯誤しながら独学で練習しました。

ishida2017-05-08-05.jpg

――石田さんは日本を代表するプロフットバッグプレイヤーとしてご活躍されていますが、フットバッグとはどのような競技なのでしょうか?

「1972年にアメリカで誕生したスポーツで、小さなバッグをお手玉のように足で操ります。もともとはひざを手術した患者さんのリハビリのためにお医者さんが考案したもので、当初は靴下に豆を詰めて行っていたんです。面白がって技を編み出したり公園で遊んでいくうちに、規模が大きくなって、世界大会が行われるまでに発展していきました。」

――映像を観させていただきましたが、かなりアクロバティックなスポーツなんですね。

「人間が動ける限界まで技を突き詰めていますからね。大会では音楽に合わせたパフォーマンスで、芸術点/技術点を審査するので、バッグを落としてしまうと減点になります。そこは、フィギュアスケートと似ている部分ですね。」

――そもそもフットバッグを始められたキッカケは何でしょうか。

「小学校から高校までサッカーをやっていて、大学でサッカーをつづけようか悩んでいたとき、スポーツショップに行ったらアメリカから上陸した新しいスポーツのキャンペーンが展開されていたんです。海外のフットバッグプレイヤーがスゴ技を披露している、スケートボードのようなストリート感のあるビデオが店頭で流れていて、それに衝撃を受けて始めたのがキッカケです。」

――それから練習に没頭するわけですね。

「そうですね。ただ当時はYouTubeには動画も上がっていなかったですし、まわりでフットバッグをやっている人もいなかったので、ビデオをコマ送りにしたり、一時停止したりして試行錯誤を重ねながら独学で練習していきました。最初の1カ月くらいは1人で練習していたんですけど、あるとき小学校のサッカークラブの同窓会にバッグを持って行ったら、フットバッグを知っている友人がいて、それから友人3〜4人と"ああでもないこうでもない"って言いながら一緒に練習していくようになったんです。」

疲労を次の日に残さないことがコンディショニングの目的。

――フットバッグならではのコンディショニングはありますか?

「アメリカで行われる世界大会は、大会期間が1週間と長いのが特殊だと思います。あと、世界大会に出場している日本人が僕だけで、専属のトレーナーがいるわけでもなく本当に1人なので、すべてセルフコンディショニングなんです。もちろん現地では日本語が通じず英語での生活に切り替わるので、精神的な強さも大事だと思います。フットバッグ全般のことというよりは、ぼくならではのことですけど(笑)。」

――フットバッグにはいろいろな種目があるんですよね?

「はい。全部で5種目あって、持久力や瞬発力など、同じフットバッグでも必要とされる要素が異なります。5種目すべてに出場するので、そういう意味では種目に合わせてカラダをつくっていかなければならない難しさがあります。

 その中でもメインとなるものが、フリースタイル、シュレッド30、サークルコンテストの3種目で、フリースタイルは2分間の音楽に合わせて競技するもので、シュレッド30は30秒間にできるだけ種類の異なる技を多く繰り出す競技です。サークルコンテストは、数人で輪になってその中で誰が一番上手く技を繰り出せるか決める競技。フリースタイルは2分間の競技が終わったあとは息もできないくらいで、ボクシングのスパーリングのような持久力が求められます。音楽に合わせるのでダンスの的な振りつけも重要です。ぼくが2014年に優勝した種目がシュレッド30なんですけど、30秒間に種類の異なる技を多く繰り出さないといけないので瞬発力が必要になります。技の難易度ごとに得点が決まっているので、フリースタイルよりも集中しないといけない。だいたい1秒にひとつ技を繰り出すのですが、バッグを落としてしまうと拾う動作で1〜2秒ロスしてしまうので、優勝するにはノーミスが前提になります。」

――フットバッグにおけるコンディショニングの重要性について教えてください。

「アメリカで開催される世界大会『World Footbag Championships』には2004年から出場しているんですけど、大会期間が1週間とすごく長いので疲労が溜まってしまうんです。そういう意味で僕の中では、疲労を次の日に残さないことがコンディショニングの目的で、今でこそ自分の中で確立された方法がありますが、それが確立されていなかった昔に比べるとすごく違いを感じます。」

――大会期間が1週間ということは、フィジカル面に加えてメンタル面のコンディショニングも大事になってくるのでしょうか?

「そうですね。2016年8月に世界大会があったんですけど、メンタル面で失敗したかなと思っています。2014年に一度優勝しましたが、フィギュアスケートのように一発勝負なので、予選落ちする可能性も十分にあるんです。だから、予選は絶対に落としちゃいけない。そういう過度な緊迫感が精神を消耗させてしまい、大会5〜6日目、準決・勝決勝ともっと大事な試合になっていくのに気持ちが入り切らなかった部分があったのかなと。2016年は第2位に終わりましたけど、メンタル面のコンディショニングをきちんと管理できていれば、優勝できた可能性はあったと思います。」

【vol.2】 CW-Xをはくと無駄な動きがなくなる。

1週間と開催期間の長い世界大会ではフィジカルだけでなく、モチベーションやパフォーマンスを維持するためのメンタルも要求される。Vol.2では世界大会へ向けてのココロとカラダの具体的なコンディショニングについて、そして練習や試合を支えるために着用しているスポーツタイツCW-Xについて語ってくれた。

前回の世界大会から筋膜リリースを取り入れました。

ishida2017-05-08-02.jpg

――大会に向けて実際にどのようなコンディショニングを取り入れていますか?

「競技のあとにストレッチを行っているんですけど、最近取り入れたものに"筋膜リリース"があります。筋膜というのは筋肉を覆い全身を繋いでいる膜のことなんですけど、その筋膜やトリガーポイントと呼ばれる拘縮部位を刺激したり緩めることで、筋膜の可動域が広がって疲労が翌日に残りにくくなるんです。短い専用のローラーを全身のさまざまな部位に当てて、ゴロゴロ転がしながら刺激します。」

――石田さんはどの部位を重点的に行うんですか?

「下半身がメインです。大会中は競技が終わったあとにホテル内で、全身を1時間半くらいかけて筋膜リリースを行います。前回の世界大会でそれを取り入れたんですけど、すごく効果を実感しました。」

――ココロのコンディショニングについてはどうでしょうか?

「1人でステージに立って競技するので、上手いプレイヤーでも本番で足が震えたりして本来の力が出せなかったりするんですけど、そうならないように普段はさまざまなイベントでお客さんの前でパフォーマンスする機会を設けています。考え方も、"競技"というよりも"魅せる"という意識を持って臨むようにしていますね。あとは、プレパフォーマンスルーティンというものがあって、いい成績を残したときに何をしたかを思い出して、例えばステージまで何歩で行くとか、優勝したときに聴いていた音楽を聴いたり。それと同じような動きや記憶を思い出しながら気持ちを高めていくイメージです。」

――食事に関してはいかがですか?

「太りやすい体質なので野菜や鶏肉を中心に摂ったり、プロテインだけの日もあります。もちろん筋肉も必要なんですけど、競技中によくジャンプするので、体重は重すぎないほうがいいですね。太い筋肉よりも体幹が大事です。」

――体幹トレーニングで実践されているものは何ですか?

「フットバッグという競技自体がもともとリハビリ目的のトレーニングなので、フットバッグをプレイすること自体が体幹トレーニングになります。それ以外にも、バランスディスクの上でフットバッグを行うと技術的にも向上するので取り入れています。結局はバッグを足の一点に収める精度の高さ、技術面を上げていかないといけないので。」

決まらない技がすんなり決まる。

――石田さんはスポーツタイツのCW-Xを使用していますが、どのようなシチュエーションで活用されていますか?

「CW-Xのスポーツタイツは2016年2月から使っています。『東京マラソンEXPO』でCW-Xがブースを出展していて、そこでパフォーマンスをさせていただいたのがキッカケで使うようになりました。練習中でも大会でも使用しています。基本的には上半身のジュウリュウ® トップをメインで使って、その他にCW-X パーツ 股関節用スムース(ボクサータイプのスポーツショーツ)、練習中はCW-Xのスポーツタイツ、ジェネレーター® モデル レボリューション® タイプも使っています。大会中は、CW-X パーツ 股関節用スムースと上半身をサポートしてくれるジュウリュウ® トップだけを着用しますね。スポーツタイツだとどうしてもカラダの可動域が若干抑制されてしまうので、フットバッグの場合、大会ではくのはベストではなかったりするんです。」

ishida2017-05-08-04.jpg

――CW-X パーツ 股関節用スムースはどのような効果をもたらしますか?

「CW-X パーツ 股関節用スムースをはくのとはかないのとではずいぶん違います。最初はそんなに違いが出るとはぼくも思わなかったんですけど、フットバッグは股関節を横に開いたりまわしたり、6つの股関節の動きがあるんですね。ただ、股関節を動かしすぎてしまう場合もあって、 本当はここまでしか動かしたくないのに勢いで動かしてしまう。それをCW-X パーツ 股関節用スムースをはくことによって、ほどよく股関節の動きをサポートしてくれるんです。ブレーキをかけるというか、無駄な動きがなくなる。技が決まらないのは、脚の動きが大きくなり過ぎてしまっていることが原因だったりするのですが、CW-X パーツ 股関節用スムースをはくといつもは決まらない技がすんなり決まったりします。」

――CW-Xをはく前と後ではパフォーマンスが大きく変わったんですね。

「"疲れたから次の日休もう"ということが少なくなりました。それだけでも1年を通しての練習量はかなり増えたと思います。モチベーションも変わったし、すごく助かっていますね。」

【vol.3】 カラダがベストか常に意識している。

今年8月に行われる世界大会に向けて、カラダとココロを鍛えるべく着々と準備を進めている石田さん。世界の頂点に立つためには、日々の生活の中でいかにコンディショニングを意識するかがカギだと語る。Vol.3では、世界最高峰のプロフットバックプレイヤーとして日々心がけていること、そして世界大会の先にある目標について語ってもらった。

カラダ関連のことを頭の片隅に置きながら生活しています。

ishida2017-05-08-03.jpg

――現在のオフの過ごし方を教えてください。

「今はフットバッグで生計を立てているので、日頃の練習もオフと言えばオフです。家でのんびり過ごすということは滅多になくて、オフらしいことと言ったら他のスポーツイベントを見に行くことかな。それこそスケートボードだったりストリート系のイベントだったり。オフの日でも、何かしらスポーツに携わっていることが多いですね。」

――プロフットバッグプレイヤーとして、生活の仕方や活動で気をつけていることはありますか?

「食事のこともそうですけど、カラダがベストの状態かどうかを常に意識している部分はあります。前に一度腰を痛めたことがあったので、ソファに座るにしてもできるだけ背筋を伸ばして背もたれに寄りかからないようにするとか、背中を反りすぎないとか、カラダ関連のことを頭の片隅に置きながら生活しています。あとは、商業施設でのパフォーマンスや、実際にフットバッグを教えに行くことも多いので、発言する機会が多いんです。フットバッグのイメージが悪くならないような発言を心がけたり、より伝わりやすく話すことを考えています。」

――CW-Xを使ったコンディショニングとして、"こんな使い方をしてみたい"というものはありますか?

「カラダの部位ごとにサポートするシリーズのCW-X パーツ 股関節用スムースしか試していないので、CW-Xパーツ ふくらはぎ用プレミアムがどのような効果をもたらすのか気になっています。今はCW-Xのコンディショニングウェアを練習や大会などで使い分けているので、それは試してみたいですね。」

フットバッグ界の"殿堂入り"を目指したい。

ishida2017-05-08-06.png

――これからチャレンジしたいこと、到達したい目標や活動を教えください。

「選手としては、2017年8月に世界大会が開催されるので、そこで再び世界一になることです。あとはフットバッグ界で"殿堂入り"があって、サッカーで言うバロンドールのような最優秀選手賞なんですけど、それに選出されたいという目標があります。フットバッグの45年の歴史の中で、殿堂入りを果たしたメンバーが約80人くらいいて、毎年1〜2人が殿堂入りすることができるんですけど、ゼロの年もあります。ぼくもここ2年で候補のうちの3人にまでは入っているんですけど...あともうちょっとかなと思います。」

――殿堂入りのために求められる条件はあるんでしょうか。

「殿堂入りは大会の結果だけじゃなくて、映像の配信だったり、フットバッグを世に広く認知させられる力も必要です。あとはベーシックな技だと評価につながらないので、より難しい技をコンスタントに出せるように、単純に技術を上げないといけません。技術面とメンタル面がバランス良くハマらないといけないので、そういう意味では世界大会での優勝も必要な要素ではあると思います。前回の世界大会で見えてきた課題を克服できるよう、練習に励みたいですね。」

――最後に、石田さんにとってコンディショニングとは?

「ベストなパフォーマンスを発揮するための準備ですね。すごく重要なものであると思っています。スポーツをやっている人もそうですし、スポーツをやっていない一般の人、サラリーマンの方にも当てはまることだと思います。」

文/溝口元海

【PROFILE】


石田太志 TAISHI ISHIDA

1984年生まれ、神奈川県出身。日本唯一のプロフットバッグプレイヤー。

大学1年生の頃にフットバッグと出会い、カナダやヨーロッパをまわりながらフットバッグの技術を学ぶ。

日本大会「Japan Footbag Championships」では3度の優勝、世界大会「World Footbag Championships」では2014年にアジア人初の世界一に輝く。

フットバッグの普及のためにメディア・イベントにも積極的に出演しており、フットバッグを使用した股関節トレーニングや介護予防としてのトレーニングにも注力。

日本サッカー協会「JFAこころのプロジェクト」にも参加しており、夢先生として全国の小中学校で夢について教えている


bnr_men.png bnr_women.png

bnr_shop.png bnr_webstore.png

  • facebook この記事をシェアする
  • twitter この記事をツイートする
  • Mail この記事をメールで送る
  • facebook
  • twitter
  • LINE
  • Mail